2010年度 活動履歴 - 谷中のおかって

谷中のおかって

2011のだて

日時
2010年5月〜2011年3月21日
場所
東京都台東区谷中界隈

東京都台東区谷中界隈のまちを中心として、さまざまな文化イベントの企画・運営・サポートをおこなっている一般社団法人。「消費」ではなく「発信」「交流」を促す企画を通じて人々の生活圏にアプローチし、まちや人の生命力を育む文化創造の「循環」を創りだすことを目指して、丁寧な企画のコーディネートを心がけている。メイン活動である「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」の一環として、東京芸術大学にほど近い根津に活動拠点「はっち」を構え、若手表現者や地域住民、まちそのものと密接に関わる活動を展開している。

「一般社団法人谷中のおかって」
公式ホームページ http://okatte.info/
twitter @YanakanoOkatte

ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクトとは

谷中というまちからインスピレーションを受け、何かしたいと思うエネルギーを「ぐるぐる」、それに影響を受け行動を起こす人たちを「ヤ→ミ→」と名付け、「ぐるぐる」と「ヤ→ミ→」を絡み合わせ、谷中のあちこちでさまざまな企画を繰り広げた。訪れた人々にも「ぐるぐる」が沸き起こり、「ヤ→ミ→」となってまたどこかへ歩き出す。この連鎖を目指しているのが「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」だ。

2010年度は本プロジェクトの拠点形成を軸に、地域にアプローチする活動を展開した。アーティストのきむらとしろうじんじん招き『きむらとしろうじんじんの野点』や、表現者とまちの人とこどもがコラボレーションする場として『ぐるぐるミックス』などの新たなプログラムづくりに取り組んだ。表現者とまちの人々が出会う場としてパフォーマンスツアー『谷中妄想ツァー!!茶会』も2009年度に続き開催した。

「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」公式ホームページ http://okatte.info/guruyami2011/


「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」は、「東京文化発信プロジェクト」の一環である「東京アートポイント計画」のプログラムとして一般社団法人谷中のおかってと東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)が主催するまちなかアートプロジェクト。ロジェクト2の学生は〈谷中のおかって〉の学生メンバーとして運営に関わった。

*「東京文化発信プロジェクト」とは
東京ならではの芸術文化の創造・発信と、芸術文化を通じた子供たちの育成を目的として、東京都と東京都歴史文化財団がアートに関わる様々な団体と協力して実施しているプロジェクト。様々な芸術分野のイベントや、まちなかで市民とアーティストが協働するアートプログラム、子供向けの体験型プログラムなどを展開している。
「東京文化発信プロジェクト」公式ホームページ http://www.bh-project.jp/artpoint/
東京文化発信プロジェクト

きむらとしろうじんじんによる「野点」

実施日
2010年11月7日(日)・10日(水)・13日(土) 11時頃〜18時頃
場所
台東区谷中霊園内こどもの広場(五重塔跡)
協力
天王寺町会の方々、南町町会の方々、崇善寺、自主保育の会“たねっこ”の方々
参加費
お茶碗作り 1500円、お抹茶 300円

2011のだて

きむらとしろうじんじんの「野点」とは、リヤカーに陶芸窯・素焼きのお茶碗・うわぐすりなど陶芸道具一式と、お抹茶セットを積んでさまざまな場所へ赴き、お客さんがお茶碗造りとお茶を楽しむことができる移動式ワークショップ屋台である。

特定多数の人々に広く開かれた「野点」を市民の生活圏で実施することにより、住民への「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」の広報的役割を担った。また、拠点形成プロジェクトとの連携により、開催までの準備期間中にはスタッフの募集・関係づくりを通じて地域資源の発掘やアートの現場への市民参加を促すことを目的とした。

スタッフ説明会の地域住民への広報、野点スタッフ開催予定地の町内会への挨拶などを行うことで、地域の人々や谷中で活動している団体からの理解や協力を得ながら開催を迎えることができた。台東区谷中霊園内こどもの広場(五重塔跡)を会場として全3回開催し、内2回は「谷中妄想ツァー!!茶会」との同時開催となった。お茶碗を焼きに遠方から訪れた人なども多く、お茶碗待ちの列ができるなど全日早い段階でお茶碗は完売した。人目を引く出立ちで参加者をもてなす姿は、世代や立場を超えてさまざまな人を誘い、地域の人や通りがかりの人の足を止め、しばし非日常の世界へと導いた。


《きむらとしろうじんじん プロフィール》                     
1967年生まれ新潟県出身。京都府在住。                     
1992年 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻 卒業
1994年 同大学院 修了                     
1995年 2月より全国各地で野点(のだて)を主とする美術作家/陶芸家として活動をはじめる。これまで青森、茨城、京都、兵庫、山口、福岡、など全国の公園や路地で野点をおこない、好評を得ている。各地の市民グループや芸術団体などによる招聘の中に、フランス国立高等美術学校(1998年)、水戸芸術館(2000年)、上野の森美術館(2008年)など公立美術館における企画展への招待も数多い。

ぐるぐるミックス

実施日
2011年2月9日(水)・3月2日(水) 14時30分―17時
場所
台東初音幼稚園内 初音ホール
対象
4歳児(年中)―5歳児(年長) 定員:各日30名
参加費
500円

●第1回目(2月9日開催)概要
テーマ:「みんなで谷根千音頭のアレンジに挑戦!」
ゲスト:安田明若さん(作曲家)、森江トシ子さん(歌手)
若手アーティスト(サポーター):松岡美弥子、田中文久、角銅真実
●第2回目(3月2日開催)概要
テーマ:「まちにとび出そう!こどもパトロール隊」
ゲスト: 堀場克也さん(谷中霊園駐在所警察官)

谷中のおかって3

「ぐるぐるミックス」とは、谷中周辺に暮らす大人たちをゲストに招き、こどもとアーティストと地域のひとびとがまちを舞台に暮らしの中から「あそび」を生み出し、ゲストにまつわるテーマを設け、テーマに沿った創作活動を通してこどもの好奇心や興味を引き出していく創作教室である。

・ 講師として美術作家のきむらとしろうじんじんを招き、若手アーティストたちがサポーターとして加わりながらこどもたちとともにクリエイティブな「あそび」を発見していく。

・ 〈谷中のおかって〉の活動を通してつくりあげてきたまちの方々とのネットワークを活かし、世代・立場・分野・関係性などが入り交じり、それぞれの創造性が引き出される新たな社会的場づくりに取り組む。

・ 若手アーティストたちがこの企画を通して社会や他者との深い関わりを体験し、自らの活動に活かしていくための仕組み・関係づくりを目指す。

・ こどもたちとともに積極的にまちの中へ出て行き、「まちで遊ぶ」「まちを材料に遊ぶ」ことを企画し、現代では閉じられた空間となりつつある幼稚園から外へと足を踏み出すことで、こどもたちがまちとの新たな関わり方を体感する。

以上のことを目指し、2010年度は2011年度の定期開催に向けた体験版を2日間開催した。当日は開催場所である初音幼稚園の園児以外の子どもの参加も見られ、単なる幼稚園の延長としての課外活動絵画教室ではなく、子どもの年齢や環境がミックスされた興味深い現場となった。

拠点「はっち」の形成

実施日
2010年6月〜2011年3月
はっち2010-1

千代田線根津駅1番出口より徒歩2分。東京藝術大学上野キャンパスより徒歩10分。車は通れない程の狭い路地に面した住宅地にある。2DKのトイレ・バス付き2階建てで、かつては隣の住宅と連なる長屋だったが、改修され分断された。周辺には老舗の八百屋や煎餅屋などが立ち並ぶ言問通り商店街がある。

人々が集う中で新たな企画や出来事が連鎖し、その場のエネルギーがまちや市民の生活に循環していくような文化創造の拠点となることを目指し、「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」拠点「はっち」を形成した。

若き芸術っ子や地域で活躍する企画者がさまざまな企画を実現するための後押しになる活動として、相談窓口の開設やネットワーク醸成のための多様なプログラムをおこない、「はっち」の特性を活かした彼らの出会いの場をコーディネートした。

はっち2010-2

オープンから夏にかけてほぼ毎日、プロジェクトメンバーの知人や谷中のまちづくりやアートに興味を持つ人々が「はっち」を訪れた。「はっち」はとても狭く、10人入るか入らないかくらいの狭い部屋に訪問者は通される。その部屋にいるには、隣の人の足が触れるくらいの近さで座らざるを得ない。しかしそのようにして皆で円座を組み、物理的に密度の濃い空間を生み出したことは精神的にも同じ影響を及ぼし、密度の濃い会話を訪問者から引き出した。また、「はっち」に常時いる〈谷中のおかって〉のメンバーには、今進めなければならない作業を中断してでも突然の訪問者との会話を優先させたり、プログラムに初めてきた人が1人しかいないときでも、時間をかけてその1人が理解できる話し方でプログラムを進行させたりするなどの行為が見られた。これらが「はっち」の特性となり、初めて会った人同士でも発言できる環境を生み、様々なアイディアを彼らから引き出し、そのアイディアにまた他の人が加わっていく循環をつくることになった。この循環が「ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト」に多くの人々を巻き込み、新たな循環としての「ぐるぐる」を形成する要因であり、「谷中妄想ツァー!!」などの企画へつながった。 「はっち」という名前には「はっちあわせ(鉢合わせ)る場」や、「料理の受け渡し口」という意味の「hatch」にちなんでなど、さまざまな意味が込められている。「はっち」の存在が循環の要因となったことで、はっちはひとつひとつの個性(食材)から企画(料理)を考案し、外への架け橋となる「hatch」の機能を果たす過程を踏んでいる。


・アートよろず相談
アーティストやアートディレクター、キュレーターを目指す若者をサポートする活動として、作品や企画などに関しての相談窓口を設け、地域情報の提供や企画内容がより充実するようサポートした。
・はっちキッチン
さまざまな立場からアートに関わる人々をゲストに招いて、シンポジウムやワークショップを実施した。
・ぐるぐる製作所
アートよろず相談を通じてアーティストやアートディレクターなどと協同でイベントの企画から実施までをおこなった。
・バズカフェ
アートやアートマネジメント、まちづくりなどに関心をもった学生や研究者たちが集い、情報交換をおこなう場。また、各分野の専門家や市民を招いて情報収集をする場であった。ここに集う学生は、「はっち」を拠点にまちでのフィールドワークもおこなった。

・スペース提供
文化芸術に関わる活動をしている企画者や団体などの集いの場として、スペース提供をした。
・リサーチ室/アーカイブ展示
谷中界隈のアートイベント情報やアートマネジメント、アートプロジェクトに関する情報を収集し、リサーチ室として利用できるようにした。また、ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクトを通して蓄積されたアーカイブの公開をおこなった。

谷中妄想ツァー!!茶会

実施日
2010年11月7日(日)・13日(土) 14時30分集合
所要時間
3時間
料金
1000円
場所
谷中界隈(スタート地点:K‘s Green garelly、最終地点:谷中霊園内五重塔跡、ポイント地点:17カ所)
出演
谷中の魅力に惹きつけられた芸術っ子たち総勢60名程

参加者が谷中のまちを歩きながらさまざまな「妄想(※1)」を繰り広げることはできないかと考えだされたのが「谷中妄想ツァー!!(※2)」である。参加者自身がまちを歩くことで成立する参加型パフォーマンスツアーで、4人1組になった参加者は渡された地図をもとにまちを歩き回る。まちなかにはいたるところに「芸術っ子(※3)」たちが点在し、彼ら独自の方法で参加者を出迎える。

昨年度も「谷中妄想ツァー!!」は開催されたが、今年度は「きむらとしろうじんじんの『野点』」が最終地点で催されていることや、参加者をもてなすことをテーマとしていたことから「谷中妄想ツァー!!茶会」として開催した。

それぞれの芸術っ子たちの持つ小さな表現は谷中のまちのもつ魅力を引き出し、芸術っ子の表現や、その表現がまちの風景に溶け込んでいく様子は、参加者に日常の風景も仕掛けられたものと思えてくるような妄想をひき起こし、まちに巻き込まれていく体験をもたらした。

ステージ写真 集合写真

※1 妄想…根拠なくあれこれ想像すること。                  
※2 ツァー!!…ツアーがよりアーティスティックに進化したもの。
※3 芸術っ子…さまざまな立場、関心から「アート」に関わる人びと。また、内発的な微動のおもむくままに「アート」という言葉の近くで活動する若者のこと。

リンク

東京都文化発信プロジェクト
http://www.bh-project.jp/

ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト
http://guruyami.web.fc2.com/

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